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試練の末に出来上がったアルバム 『わすれもの』 ――さて話をアルバム『わすれもの』に移しましょう。今作は現在までの集大成とも言うべきバラエティに富んだ作品集ですね。最初に描いた像というのは? 碩: 初のフルアルバムなんで、色んな面を入れたかったんです。どれだけ広い音楽性の幅を出せるか、それが最初の目標でした。そして僕にとっては、歌詞や気持ちを着飾らずに真っ直ぐ伝える、という点もそうでした。――タイトルの由来は? 碩: 全曲録り終えてからタイトルがつきました。「やっと終わった!」って思い振り返ったら、半年も掛かってたんですよ!東京で少しづつ作業していたんで、見えて来ないんですよ、全貌が。全部がひとつになった時に、歌詞を見ながらCDをもう一回聴いたら、日記みたいだったんですよ。録音に向けて楽曲をその都度作って、歌詞を乗せて。でも楽曲、サウンド、歌詞にそれぞれこだわりがあって、締め切りギリギリまでかかっちゃった。だからその時その時の気持ちが、そのまま書かれてるんです。 じゃあそれらの曲に共通するものは何だろうって考えた時に、都会で得てきたものも多かったんですけど、やっぱり島に居た時のあの純粋な気持ちが、僕にとっては忘れていた後悔であり、そして忘れちゃいけないことなんだという事を歌ってるんだって気付いたんです。それが本音中の本音なんだって。気が付けば僕らは、手を泥で汚すこともなくなって、太陽を追いかけて走ることもなくなったけど、島に居たあの頃、がむしゃらだったあの頃が一番好きだったんだなあって。それはどこにいても、人間として一番大事なところで、忘れちゃいけないことなんだって思いました。そしてこのジャケットの傘もそうなんですけど、忘れちゃいけない、必要な時が来る忘れ物なんだなあって。だからこのCDがそういう人たちにとっての忘れ物になったらいいな、と思っているので、一枚一枚『忘れてますよ』って、手渡せればいいんですけどね。 長村: プレーヤーとしては詰めて詰めての半年間で、スタッフには自分のギターで見えてなかった部分を指摘され、レコーディングのたびにナーバスになってました。自分と楽曲との落としどころが見えなくなり、硯とは喧嘩しながら見つけていったところもあります。そんな結果も入ってるんで、自分にとってはリアルな一枚です。でもこの悩みは、何年後かには絶対忘れちゃいけない事なんだ、というメモリアルな一枚にもなりました。 碩: 宿舎の近くにコンビニがあって、お酒が売ってるんですよ。僕らは飲みに行くお金が無いんで、そこでお酒を買って飲むんですけど、この作業の間は一度も無かったですね…。でも一回だけ飲みたいって事があったね、年末に…! 長村: アハ!(笑) 碩: 年越しなのにお金が無くって、2人で街を歩いてて、下向いて「10万でいいから、お金落ちてないかなあ」って。「じゃあ、100万落ちていたらどうする?」「持って帰る!」「警察には届けない?」「いや、持って帰る」「何する?」「居酒屋に飲みに行く」「僕もそうする」って…。そうしたら、本当に目の前に財布が落ちてたんです!で、開けたら10万円入ってたんですよ!「本当にあったー!」って。これが一年の集大成なのか、神様の思し召しか、何かの試練か…、とりあえず交番まで歩いたんですよ。「さっき何て言った?」なんて話しながら。でも「いや、これじゃあ美味い酒が飲めない」って、交番に届けたんです。そうしたら事務所の社長が「お歳暮を貰ったんだけど、僕はお酒を飲まないから」って、ビールをくれたんです。「これかあ、答えは」って!そのビールは美味しかったー!(笑) 長村: …色んな試練があったよね(笑) ――いい話ですね。 ![]() ![]() ![]() ![]()
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