2007年6月13日(水)青山ライブハウス“月見ル君想フ”において、朝崎郁恵withウォン・ウィンツァン「シマユムタ」コンサートが開催された。
朝崎郁恵のメジャー2ndアルバム『うたあしぃび』から『おぼくり』、『シマユムタ』とピアノで共演してきた二人。今回のコンサートでは、唄とピアノの生演奏により『シマユムタ』の世界を再現した。朝崎郁恵のシマ唄にぴたりと合わせるウォン・ウィンツァンのピアノ。息のあった二人の演奏は、120人を超える観客を魅了した。
「楽譜をわすれちゃって…」と、ステージに登場したウォンさんが開口一番に会場を和ませる。
今回は120人を超える観客が見つめる中で、朝崎郁恵とウォンさんの「シマユムタ」が始まった。
1曲目の「いきゃびき」から、「俊金節」「しょうれん」「よいすら」と、『シマユムタ』収録作品が再現された。ウォンさんのジャジーで、しかし力強い、流れるようなピアノが、朝崎郁恵の唄声に寄り添うように響く。
「初めて朝崎さんと出会った時は、強烈な歌い手に出会ったと思いました。この世の人ではない印象で…宇宙人のようでした」と話すウォンさんに対し、「奄美人です」と朝崎郁恵の合いの手がはいる。唄の合間の二人のお
話も、ライブコンサートの醍醐味だろう。
しかし、ウォンさんはピアノを弾いているときのジャズマンなイメージと、しゃべりだしたときのおもしろいキャラクターで印象がガラッと変わる人だ。この日のMCも、ウォンさんファンの方はまだしも(?)初めてウォンさんを生で見たという方はちょっとびっくりな「くだけた」トークで会場を盛り上げてくれた。
ついつい話が弾むウォンさんに「そろそろ唄いましょうか」と切り込む朝崎郁恵のコメント。息がぴったりなのは演奏だけではないようだ。
続いて「諸鈍長浜」「竹田の子守唄」と、アルバム『おぼくり』から2曲を演奏。こちらも収録されたアレンジを再現する形での演奏になった。
「朝崎さんの声は懐かしさを感じるんですね。今まで体験したことがないはずなのに、この懐かしさはどこからくるのだろうって。自分も都会で育ったけど『ネイティブマインド』を呼び起こさせられて、どうしようもない郷愁を感じたんです。今日も演奏しながら、グイグイきてます(笑)お母さん……といったら失礼か、お姉さんのような存在です!」と、ウォンさんが語る朝崎郁恵の奄美人としての魅力。会場にいたほとんどの方が頷いたはず。
朝崎郁恵とウォンさんが初めてレコーディングした曲「行きょおれ」では、亡くなった人を送り出すときに唄われる名曲で「峠に白い鳥が見えます。あれは亡き夫の魂です。別れて行っても私のことをどうか忘れないでほしい」という内容が歌われている。「奄美でもこの曲を唄う人はもう少ないんです」と朝崎郁恵が歌うと「いつか誰しも(この世から)別れるときがくる」と話したウォンさんの言葉が印象的だった。次の「五木の子守唄」では、ウォンさんが「朝崎さんは本当にすごい。(唄声が)まるでブルースみたいで…」とコメント。朝崎郁恵のすごさも十分伝わってくるが、ウォンさんのピアノもすごい。ブルース唄者・朝崎郁恵に合わせて弾いちゃうんだから。
もっとすごかったのが、「曲がりょ高頂」。これはウォンさんの長男・美音志(みねし)さんが、当時19歳でアレンジしたというドラムンベースを流し、そこに唄とピアノをあわせるというもの。これが驚くほどぴったりだった!しっとりとしたシマ唄が多かった中で、ハイテンポなベースが響いたこの曲は、どこか新鮮な感じをうけた。
美音志さんの才能に感動したあと、更なるゲストが登場。
リハーサル中に急遽出演が決まったという、高橋全(たかはしあきら)さん。10年以上前、朝崎郁恵が初めてピアノとあわせてシマ唄を歌ったCD『海美(あまみ)』※の「おぼくり〜ええうみ」で、ピアノを演奏していたのが全さんだ。今回の演奏は4年ぶりで、リハなしのぶっつけ本番だったらしいのだが…。まったく違和感を感じさせない落ちついたピアノと、それに掛け合うような唄は観客120人を魅了した。
※現在『海美(あまみ)』は廃盤だが、収録されていた曲は『うたばうたゆん』に再収録されている

ラストを飾ったのは「豊年節」と「六調」!
朝崎郁恵の呼びかけに、1階席は踊りと手拍子で最高潮に。そんな会場を落ち着かせるように朝崎郁恵が「ふるさと」を唄うと、長くて短い夜は幕を閉じた。
コンサート終了後、なんと朝崎・ウォン両氏によるサイン会も開催!
ステージの余韻を惜しむように、サインをもらう人は長蛇の列をつくり、お二人もうれしそうに応えていた。
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